会議のムダ時間と距離を超越!?→唯一無二の『タンゲロイド』誕生!
ベトナムのホーチミンにオフショア開発における品質保証をサポートする、新たな拠点『SHIFT ASIA』を設立した2016年頃。
SHIFT代表の丹下はそれまで以上に出席が必要な“会議”が増え、そのための“移動”もよりいっそう発生。日々のスケジュールがひっ迫する中で丹下が考えたものは、まさかの『分身の術』でした。
デジタルアバター全盛の時代に、一見逆行するようにも見えますが、探究心全開で挑む丹下と山梨との開発ストーリーをご一読ください。
◼︎『実』のある会議にするために
丹下
会議だけでもスケジュールがどんどん埋まっていっちゃって…特に移動時間のロスがね…
山梨
長期で海外出張も多かったので、会議のスケジュール調整は難航してましたよね。
丹下
他の会議のためにも、『移動する時間』を使って会議したかったんだよね。もったいなくて。。
山梨
試行錯誤しましたよね。オンラインでの会議も、いろんなツール試して。
でもビデオチャットだとなぜか会議が弾まなくなる…
丹下
なんなんだろね、あれ。ホントに実感として弾まなくなる。
リズムや温度感を五感で感じられないからなのかなぁ…もったいない!
話が展開しない会議なんて、そもそもムダになるしね。
◼︎センターピンは『存在感』
中身のある会議をするためには『存在感』こそが重要である。センターピンを定め、これを軸に試作品の製作をはじめたのは2015年の春頃。
遠隔操作での敏捷性と再現性のバランスも考え、とりあえずバストアップで可動部分は首から上とし、頭部は造形師や専門家の協力の下、3Dスキャンなどさまざまな角度からアプローチし製作し、さらに、本人の表情や動きを効果的にトレースするため、VRスコープで首の振りや傾きを感知できるプログラムを制作しました。
この筐体にカメラとスピーカーとマイクを取り付け、実際の会議に『本人の分身』として参加させるという、どこかレトロSFチックというか若干現実離れしたプロダクトが実現していきます。
丹下
色々考えたんだけど、実寸でつくることでこそ出てくるものがあると思ったんだよね。
山梨
CGやARの方が容易に実現できるんだろうけど、わざとロボットにすることで何が変わるか、知りたかったんですね。
丹下
やっぱり映像じゃなくて物体だから、当然『存在感』は格段に違うだろうしね。実体があるから『存在感』を感じて聞いてくれる。ロイドの挙動に反応してほしいというか、ドキッとしてほしいw!
山梨
対面してるからこそ生まれるであろうその場の熱量や緊張感を、なるべく損なうことなく且つ、スムーズな会話のやり取りをしたい訳ですからね。
飽くなき探究心は遂に、人は何をもって『ホンモノ』と思うのかというところまで発展していきました。
山梨
機械には無意味だけどまばたきとか、そういった小さな動きがホンモノっぽく見える要素の一つですよね。
丹下
ただ、動いてるときの作動音が…ね。ロボコップみたいだったねw。
◼︎開発スタートから一年。初号機の仕上がり具合は?
マネキンや人形は本物に似せ過ぎると逆に怖く感じるという『不気味の谷』問題や、通信上のレスポンスの問題など、さまざまな問題を解決しながら開発開始から一年後、ついにお披露目することができました。
丹下
JAPAN IT WEEKのSHIFTブースに、タンゲロイド体験コーナーをつくって『誰でも丹下化』できるっていうw。
山梨
丹下さんが隣でスコープを装着して、実際に同じ動きをしている様子は、相当斬新な光景でしたね!
丹下
SF映画だよねーw。
みんな振り返ってたわww。
やっぱり展示会はまず注目してもらってなんぼだから良かったよ!!
◼︎オンライン会議の未来
そもそも、対面式の会議自体が縮小傾向にあるご時世ではあり、タンゲロイドの活躍する場は少なくなってしまうのかもしれません。
ただ近年、Vtuberや小さいロボを介したライブチャットOriHimeなど、アバターを挟んだデジタルなコミュニケーションは一つの選択肢になりつつあるように感じます。
闊達な会議をするためには、実用的な部分でクリアしなければいけない課題はないわけではないですが、直接会って会議することが難しくなった昨今ではその存在が見直されるプロダクトなのは間違いなく、ここでの知見が今後のオンライン会議に役立つ日が来るのはそう遠くないでしょう。
丹下
現在も、よりリアルな表情に見せるための研究はつづけてて。
試作品もあわせると、結構な数がいるw。
山梨
ハロウィンで付けていたお面は3つともそっくりでした。
今になって思うのは、僕らは丹下さんを知りすぎてるから色々細かい違いが気になっちゃうのかもしれないですよね(笑)。
新しい仲間やお客様には区別がつかないくらいのマスクも作れてきてはいるんです!
丹下
並べると進化の度合いがよくわかるなぁw。
山梨
最近のビデオチャットサービスの急激な進化をみていると、ニーズの急上昇やユーザー意識の変化の相乗効果によって、オンライン会議自体の変化が生まれていますよね。
丹下
そもそも、今のアプリってリアルタイムで肌とかを調整してくれたりするからね!
今は性別や年齢まで加工できてしまうアプリなんかもあるから、そのうちオンライン上での実体?みたいなものは曖昧になっていくのかもしれないなぁ。
2020/1/24 記