AIで碁できるならゲームのテストも!→ゲーム用打鍵器を制作
◼︎疲れを知らないロボット検証
アジアの好景気に牽引される形でソーシャルゲーム市場が拡大していくなか、“AlphaGo”により囲碁の世界でAIが人間を超える棋力を発揮し、話題になったのは2015年でした。
「AIで碁が打てるなら、ゲームのテストもAIでできるのでは」というなんともラフな仮説から、今回の『打鍵器』プロジェクトがスタートします。
丹下
テスト自動化は別として、人力でのテストってまだまだなくならないじゃん。スマホゲームのテストとか。アプリをPC上のエミュレーターでプログラム走らせて擬似的に実行してもいいんだけど。
山梨
実際にタッチすることで出てくる不具合もきっとありますからね。
マウスじゃ不可能な挙動とかも実際はあるだろうし。
丹下
でも、実際には人間にこんな操作できないだろうけどっていう不具合ってありそうだよね?
例えば、パズルゲーム10万点がなかなか出せない設定だけど、実はその先に出てくる不具合とかさ。マリオとかも無限アップし過ぎると文字じゃない記号みたいな表記になってたりしてたじゃんw。あと、24時間連続ゲームしつづけるとかw。
人間には困難なテストだけど、そこで“バグが出るかどうか”はポイントだよね。決して重要ではないかもしれないけど。
山梨
そのバグから派生するものを推理して、バグの原因を解明することで、違う箇所の危険性の予知や、他のプロジェクトの礎にすることができる可能性は大いにありうる。
丹下
とはいえ飛躍してるよねやっぱw。打鍵器はまさに、やってみたシリーズだねw。
実用ベースっていうよりは実験ベースというか。
この時期SHIFTでは、テスト業務における非効率となる要因は人間の『疲れ・判断ミス・限られた労働時間』という課題が出ていた事もあり、これらをロボットで回避できないかということで製作したのが、今回の『タブレット用打鍵器』です。
元製造業コンサルがメンバーに多数在籍しているのもあり、打鍵器自体も社内のメンバーが設計図を引きました。検証用ゲームには過去に広告用アプリとして制作した、落ちてくるバグを防ぐ落ちものパズルゲームアプリ『CATMAN JOHN』を採用。レーザーカッターのようなアームにカメラとタッチペンを取り付け、固定されたタブレットの画面をカメラで認識し正確に処理できるように開発しました。
丹下
まあ、見た目はアナログに見えるかもしれないけどw。
山梨
やっぱり人がテストするのとは違うものが見えてきましたね。
丹下
なんか科学博物館とかに置いてありそうw。
山梨
でもコントローラーを使わないゲームって、こういうテストも重要なのかもしれないですね。
丹下
バルスのときもそうだけど、人がやることと機械がやることって、差が生まれるから意味があるよね。
※バルス…自社開発の負荷テスト。詳しくはこちら!
山梨
逆にどれくらいの差が出るのかがわかってくると、その実験の信憑性って高まる訳ですしね。
◼︎テストをする機械の未来
丹下
機械が実行するテストもある程度の信頼が得られれば人力との住み分けもできるよね。
あと、VRを機械にテストさせるっていうのもいいかも。
山梨
VRって人体には結構身体に負担大きいですし、個人差も大きくなりそうだから再現性の問題も出てきそうですもんね。
丹下
タンゲロイドみたいなロボにテストさせたりすればVR酔いもへっちゃらだもんねw。
※タンゲロイド…自社開発のコミュニケーションアンドロイド。詳しくはこちら!
山梨
未来のテストの標準は機械の自動テストありきになっていくのかもしれませんね。
丹下
でも、楽しむのが人間な以上、人間がテストしないとわかんないことは結構あると思うよ。
不具合ではないけど使いづらいとか、サービスは良いけどUIが不快とか。
そういったトレードオフみたいな感覚と、個人的な主観・マスを意識した客観のさじ加減とかって、ファジーで感覚的だから人間の方が早そう。
そういう『空気』みたいものの取捨選択はまだまだ機械には簡単に判別できないと思う。
山梨
インフラやハードのハイスペック化が加速していっても人間の身体がそれらに順応するのは時間がかかりそうですからね。
この打鍵器を見ていると機械と人間の間にある『隔たり』の様なものがまだまだ存在するなあ、と思ったりしました。
丹下
楽できるかもなと思って作ってみたけど、逆に楽できるのは結構先かなぁって痛感するというねw。なんかそう考えると急に現代アートっぽく見えてきたw!
テスト自動化やRPAも、導入する現場によってそれぞれ違うプログラミングや仕様がほとんどですが、アナログなデジタル、こういったプロジェクトが残していったナレッジの積み重ねが、いざというときに財産になるのかもしれません。
2020/1/17 記