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株式会社7アクト

 

私が行きたい英会話スクール

丹下:事業内容から教えていただけますか?

トーマス:弊社は一言で言うと、「私が行きたい英会話スクール」を運営しています。

丹下:私ってトーマスさんですか?

トーマス:そうですね。もともとカナダに留学をしていました。帰国してから、英語って話さないとすぐ忘れちゃうんで、どこかいいところないかなと探していたんですけど、マンツーマンは高くて無理でした。そして、グループだと話す時間が短くなっちゃうし、おまけにテキストがあってそれどおりにやらなきゃいけないですし、やりたくないことってあるじゃないですか。「こんなの知ってるし」とか、それがすごくいやで。なんでこんなのしかないんだろうとか思って。

丹下:しゃべりたいだけなのに。

トーマス:その時、就職しようと思ってまして、英語を使える仕事をやりたいと思ってたんで、面接も英語だし、レジュメも英語で書かなきゃいけないですし、そういうことをアドバイスして欲しかったんですね。要するに今欲しいのはこれだからという感じで、人間ってやりたいことじゃないと熱中してできないですし、関係ないことやっても忘れちゃいますしね。それが日本人の英語が伸びない理由だろうなとか思いまして。

丹下:マス向けのサービスですよね。グーグルっぽい感じですよね。探したい用語を検索して、単純に情報が欲しいのに関係ないもの見せられたりですとか。

トーマス:日本人は英会話という業界に対してはすごく甘かったと思うんです。高くても講師が悪くてもクレームをつけないし。これが他の業界、例えば食料品とかだったら違ったと思うんです。NOVAがあそこまで伸びたというのはクレームが少なかったっていうのがあると思うんですよね。

丹下:英語に特化されてると思うんですけど、ちょっとニーズがあるか分からないんですが、中国語とかスペイン語とかは考えておられるんですか?
★ Dreamerのプロフィール
出身地 茨城県
生年月日 1969年8月11日
学歴 1989年東京スクールオブビジネス卒
略歴 上記卒業後NECに入社、その後デザイン会社にてディスプレイを作成、その後カナダへ1年ほど留学
趣味 海外旅行、パーティ
その他

☆ 会社概要
企業理念 「英会話業界の革新」
「社会教育の革新」
「日本人のメンタリティの変革」
社名 株式会社7アクト
代表者 トーマス理恵
設立 2000年8月
住所 東京都新宿区西新宿7-9-16西新宿佐藤ビル2階(本社)
TEL 03-5348-6366
FAX 03-5348-6369
URL http://www.7act.com
トーマス:やらないですね。というのは、自分ができないからです。ウチは「レッスンは試合の場所です」と言っていて、なので、練習したことを有効活用してくださいと。その練習過程が大切であって、それが出来ない人は、いくら試合に出ても、上手にならないですよと。何百回チケットを買った人でも、自分で練習しないと伸びないですよと最初から言っています。しゃべりたいだけの人はそれはそれでいいんですけど、それ以外の人が大半なので、家での勉強方法とかアドバイスしているんですね。それが他の言語だとできない。

丹下:なるほど。作り出せないということですね。

トーマス:英語なら家でやるカリキュラムを1000くらい持っているんです。

丹下:オリジナルですか?

トーマス:そうですね。色々なものアレンジはしていますけど、テキストも大量に買ってどれがどういう風なところに向いているかとか研究しているんですけど、他の言語だと、それだけ研究熱心な人を探さなきゃいけないし、自分ができないから面接が難しいですよね。講師を紹介するだけなら何とかなりますけどね。講師を紹介するだけの会社ってウチがある程度成功したのでいっぱいあるんですよ。値段も1万とか2万に下げて、すごい出てきてるんです。

丹下:それはどうなっていくんですか?まあ、安かろう悪かろうというとこもあるでしょうけど、ビジネスは想いだと思うので。


トーマス:値段でそっちに流れていくということはありますけど、ウチは生徒さんにもレッスン受けるだけじゃ伸びませんよとはちゃんといいますしね。ただ、すごい頑張っちゃうと続かないので、ある程度、好きこそものの上手なれじゃないですけど、例えばゴルフ好きな人は打ちっぱなしに行くことが苦じゃないじゃないですか。その程度に頑張るというね。

丹下:確かにそうですね。あまりガッツリやってしまうと長く続かないですよね。

トーマス:そうですね。1日2時間必ずやりましょうといったら皆ギブアップしてしまうので、1日10分その人の通勤時間で何をやるかみたいなことをアドバイスさせてもらっているんですよ。
丹下:事業というより、本当に皆に英語をしゃべってもらいたいという気持ちなんですね。

トーマス:そうですね。だからウチのスタッフ営業下手なんですけど、営業60、70%取ってきますから。

丹下:やはり想いが伝わるんじゃないですか?

トーマス:スタッフが英語が好きで、皆にその楽しさを知ってもらいたいという感覚ですね。


駅近のカフェスタイルを確立

丹下:授業はカフェでやったり教室でやったりされているそうですね?

トーマス:そうですね。元々カフェスタイルだったんですよ。それこそ本当にお金がなかったので、教室なんて考えられない状況で、教室構えるとかすごくお金がかかるじゃないですか。

丹下:ましてや駅前とかそうですよね。

トーマス:そうなんですよ。NOVAさん全盛期だったので、大手が立ち並ぶ中で、出てきたばかりのところがどう立ち向かうかというね、場所を構えてしまうとお客さんにコストを負担してもらうことになってしまうので、2000年に始めたのですが、その当時でマンツーマンレッスンが安くて1万円、高いところで3万円したんですよ。45分から1時間で。
丹下:高いですね。

トーマス:高いですよね。だから、英会話というのはちょっとお金がある人たちのものだったんですよね。で、ちょっと安くなっちゃうとグループレッスンになっちゃうので、そうすると7,8人とかになっちゃって、それでも月に1万円とかとられちゃう感じでしたからね。

丹下:グループだとあまりしゃべれないですもんね。

トーマス:そうなんですよね。それで、もっと手軽に始めてもらいたいなというのがあって、とにかく始めてもらうことが大切だと思って、とにかく安くする方法を考えて、最初は講師の家でやってもらおうかと思ったんですよ。そうしたら、講師は動かなくていいし、重たいテキスト持ち歩かなくていいしとか思っていたんですけど、いざ面接を始めてみると、外国人って歩くのを厭わないんですよ。講師の家でやるとなると「近いよ」とか言いながら、15分とか20分とか普通に歩かされるので、これ仕事帰りに歩くのきついよなとか思っていました。すると、駅前に空いているカフェがいっぱいあるわけですし、飲み物さえ買えばお客さんなので、何をしようが自由といいますか、自習している人もいるわけですし、逆に普通英語って仕切られたような静かな空間で使うことなんてないじゃないですか。自然な状態に一番近い雰囲気の方がいいんじゃないかみたいにやったら、それが当たってですね。

丹下:雰囲気と共に学ぶことができるというのは、確かに面白いですね。


1か月100人の応募、問い合わせ殺到!!

丹下:開業前から宣伝をされていたのですか?

トーマス:いえ、8月に始めて、12月までぽつぽつお客さんが来ていたんですけど、12月に英会話の比較サイトがウチを取り上げてくれて。

丹下:なるほど。それで、問い合わせが殺到した感じですか。

トーマス:そうですね。体験レッスンが一気に増えました。一気にと言いましても、その頃3人とかでやっていたんですけど、1ヶ月50人とかが手一杯で、100人募集とか言っておきながら50人で止めたりしていました。これ以上は無理というところでやっていました。
丹下:料金体系はどのようになっているんですか?

トーマス:ウチに入会金と講師紹介料というのをいただいて、後は月々2000円を管理費としていただいて、あとは受けるたびに講師に3000円渡していただいてます。

丹下:1時間ですか?

トーマス:1時間ですね。という具合にしまして、実は講師にとっても働く環境はよくて、普通の所だと時給に直すと1000円とかなんですけど、時給3000円といったらおいしいみたいな。

丹下:3000円そのまま講師にいくんですよね?

トーマス:そうなんですよ。だからウチはあんまり売り上げはよくないんです。

丹下:講師のモチベーションは高いですよね?

トーマス:そうですね。生徒さんにとっても分かりやすいと思います。

丹下:すごい透明性ですね。


前払いチケット制とその都度払いの違い

トーマス:生徒さんもその場で払うので、払っている感がちゃんとあるんですよ。前にチケット手に入れちゃうと、払ったこと忘れちゃうじゃないですか。
丹下:そうですよね。大学の時に一度英会話やったことあります。親に出してもらったんですけど60万くらいかな。一気に買うんですよね。京都駅の近くだったんですけど、バイクで40分くらいかかるんで、遠くて行かないんですよね。週末は友達と遊びたいしとか思って、結局5回くらい行って終わりましたね。

トーマス:もったいないですよね。1回お財布から出ちゃうとなかったものになっちゃうんですよね。でも、1回1回払うと、あ、もう2000円しかないとか意識すると大事にするんですよね。

丹下:そうですよね。その中で、リピートを重ねていくというのは大変じゃないですか?

トーマス:ウチはリピートというよりは紹介ですかね。結局長く続けてもらうことと紹介してもらうことでウチのビジネスは成り立っていて、通常語学学校だと半年、一年行くか行かないかというところで辞めちゃっていると思うんですけど、ウチは1年半とか2年、長い人だと3年も続けてくださって、そういう人たちがいいよって言って紹介してくださって、営業の契約率も上がるんですよね。

丹下:紹介だとそうですよね。講師を何人かまたぐということも可能なんですか?

トーマス:可能ですよ。ただ、講師も自分の時間を空けているので、月1回とかだと困っちゃいますけど、月3回くらい受けてくれれば可能ですよね。

丹下:すごくお客さん視点といいますか。
トーマス:そうですね。


子供に自信をつけさせる教育を

丹下:それでは、会社としての夢をお聞きしたいのですが?

トーマス:今は英会話に特化しているのですが、元々教育に興味があったんです。今の日本の教育システムって、これじゃいけないなと思うことがよくありました。要は平均的な人間を作り出しているじゃないですか。その平均的な水準から落ちてしまうとダメな子みたいなレッテルを貼られて、何か1つ秀でたものがあっても、それを伸ばすのではなくこっちを伸ばして平均的になりなさいっていう教育じゃないですか。それが日本を停滞させた原因じゃないかと思っています。

丹下:確かにそうですよね。皆と同じことしなさいって感じですから。

トーマス:私はカナダに1年くらいいたんです。その間旅行とかしつつ、子供が好きなので、ボランティアを兼ねつつ学校を回っていたんです。カナダは、教室で動き回っていても先生とか怒らないんですよね。ただ、これをやらなきゃいけない時は集まりなさいという感じで、その他は好きなようにやらせていました。例えば、絵を描くにしても、日本だと、鼻はこうあって、目はこうで、肌は肌色でという感じですけど、向こうはどう描いてもいいし、何色使ってもいいし、「あなたの思うようにやりなさい」というのがあって、日本はいい子達を潰していってる気がするんですね。
丹下:子供の表現を潰している瞬間ってありますよね。面白いねそれとかって言ってあげると、こういうことがウケるんだとか小学校くらいで気づくとそこ頑張るじゃないですか。絵良いねとか言ってあげたら、自信になったりして。

トーマス:そうですね。自信って大事ですよね。私2年位前に新卒採用やろうかと思って1度トライしたんです。その時はまだベンチャーブームだったので、5回セミナーをやって100人くらいずつ来てくれました。で、その中で私が必ず聞いていたのが、自分に自信がある人は手を挙げてくださいというと1人とか0人なんですよ。

丹下:本当ですか。ものすごく少ないですね。

トーマス:自信って自分を信じるからこそのものじゃないですか。何ができるとかじゃなくて。最初から出来る人なんていないじゃないですか。でも、自信があるからそれにトライしてできるようになって、それがまた自信につながっていくんだと思うんですよね。だから、最初から自分を信じられないと言っちゃうのはどうなのよと思っちゃってですね。それが小さい頃からの平均的な教育というので潰されちゃってるんだろうなと思っています。そういうのを何とかしようという気持ちもあって7月から幼児教室開くんですよ。

丹下:そこからですか。初等教育が大切だって僕も思います。

トーマス:英会話だけじゃなくて色々なことが体験できる教室ですね。英語ってアイメッセージじゃないですか。自分が主人公にならないと伝わらない言語なので、表現するにはいい言葉なんですね。


トーマス:英語話すと性格変わりますという人もいると思うんですけど、それは主張しないといけないからだと思うんですよね。主語がはっきりしていますから。ですので、英語を主張する言語として取り入れることもいいと思いますし、英語だけじゃなくて、その他にも色々なことを体験してもらえるようにしようと思っています。書道とかアートとかダンスとか。その中で1つでも自分に自信を持ってもらおうみたいな。私たちが褒める人になろうと、小さい頃にいっぱい褒められると自信が付きやすいだろうし、勉強できない人がいてもいいじゃないかと思っていて。お受験塾が全盛の今の時代とは全く逆の方向にいってるんですけど、結局お受験の勉強ってどこかに入ることが目的であって、入った後どうするのって人がいっぱいいるわけじゃないですか。この間、東大の院行ってアルバイトを転々としているという人が面接に来たんです。
トーマス:話を聞いてても何がしたいのか分からなくて、履歴書もぐちゃぐちゃだし、応募動機とかもよく分からなくてですね。そういう人をいっぱい作ってもしょうがないし、親だってそういう風になってもらいたい訳ないじゃないですか。大人になっても楽しく生きて欲しいし、やりたいこと見つけて生きて欲しいと思っているはずなんですよね。自殺とかされたら親としていたたまれないじゃないですか。

丹下:自分より若くしてなんてね。

トーマス:そういうことを撥ねつけるくらいの強さを持って欲しいというかね。

丹下:そうか。それが自信とつながりますもんね。例えいじめられても、僕はここは負けないみたいなことがあれば。それが会社としての夢ですか?

トーマス:そうですね。


子供をビジネスの発想の原点に

丹下:他の会社さんだと事業モデルがあって、ここのパイをこうやっていくからここに夢があるみたいな感じですけど、全く違う形なんですね。

トーマス:私はやりたいことやりますから。ウチの娘が4歳なんですけど、色々なことやらせて好きなこと見つけてもらえたらいいなあと。
トーマス:で、あちこち連れて行くのは大変なので、幼児教室を作ろうということを思いつきました。

丹下:そういうことですか。娘さんをビジネスモデルに。

経営とお母さん、バイタリティある人間になる

丹下:個人としての夢はおありですか?

トーマス:私は今、母をやっていて、経営もやっていて、1人の女でもあります。年取っても、「年だからできないや」っていうのは言いたくないですね。年をとったら、年をとった分だけ老け込んじゃう人と、見た目はそれなりに老けちゃうんですけど、やりたいことやっていると肉体的にも張りが出てね、「年取ったから出来ないや」じゃなくてね。それを「どうやってやっていこう」と考えるバイタリティある人になりたいなと。

丹下:具体的にあるんですか?

トーマス:その時その時でやりたいことが出てくるので、1つずつ欲張らないでやっていきたいですね。それが今までの7アクトですしね。欲張らないで、1つずつ着実にやっていきたいです。

丹下:わかりました。本日はありがとうございました。

トーマス:こちらこそありがとうございました。






母にして、事業家。最近私にも子供が出来ましたが、子育てしながら会社を経営していくことは簡単には出来ることじゃないです。それを具現化されているトーマス社長。英会話料金も非常に安価で、そして教材までしっかりとあり、少しずつフォローしながらやられている事業スタイルから、顧客満足度の高さが伺えます。とても真似できないですね。私も本気で通おうかと思うくらいです。そんな経営者のトーマスさんは、色々な雑誌に取り上げられており、バリバリのキャリア・ウーマンなのかと思いきや、非常に物腰の柔らかい気さくな女性でした。子供の教育から抜本的に改革したいという想いは、とても共感するこの頃です。素敵な会社です。