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起業家の熱い夢を応援するウェブマガジン「ドリマガ」

アソブロック株式会社

アソブロック株式会社、代表取締役社長団遊。読み方は「だんあそぶ」。
東京は青山。青山といっても住宅街の一角に位置する一軒家にオフィス
を構えている。どこか懐かしい。小学校の頃、友達の家に遊びに来た感覚
を想い出しながら、オフィスにお邪魔した。
 

同い年と本名とおしゃれな両親

丹下:本日はよろしくお願いします。

団:こちらこそよろしくお願いします。ホームページ拝見しましたが、丹下さん僕と同い年ですよね?

丹下:1974年ですか?

団:74年です!

丹下:おー(笑)

団:おー(笑)

丹下:まさか本名ですか?

団:本名です。

丹下:えー!(笑)ずっと気になってたんですよ、ビジネスネームかなって。

団:本名なんですよ。三人兄弟で僕が一番上、二番目が「挑」(いどむ)、三番目が女の子で「こと葉」(ことば)っていうんです。

丹下:ご両親、おしゃれですね。

団:思い切りましたね。笑


経営者向いてないんちゃうかオレ?

丹下:それでは、会社としての夢を教えていただけますでしょうか?

団:僕、26歳くらいから会社をしているんですね。

丹下:はい。

団:アソブロックという会社は立ち上がって6年目なんですが、2年目に自分は経営者に向いていないということがわかりました。
★ Dreamerのプロフィール
出身地 京都生まれ
生年月日 1974年
学歴 龍谷大学 法学部法律学科卒業
略歴 1997年  大学卒業後、作家の真似事を経てフリーライターとして活動開始
2000年  設立間もない有限会社クエストルームの経営に参画
2001年  同社株式会社に改組にともない、取締役に
2002年  同社にて出版事業『きんとうん出版』立ち上げる。
2003年  同社退社 取締役退任
2003年  5月/アソブロック株式会社設立 代表取締役に
2004年  8月/有限会社ea設立 代表取締役に
2006年~ 社長という役割を担当しながら制作系プロデューサーとしてがんばる
趣味
その他

☆ 会社概要
企業理念 「モノを創る」ことで、「これまでの環境」に変化や刺激を起こす。
社名 アソブロック株式会社
代表者 団遊
設立 2003年5月
住所 東京都港区南青山2丁目14-7
TEL 03-5775-1612
FAX 03-5775-1613
URL http://www.asoblock.net/


丹下:28歳のころですか?

団:そうですね。なぜかというと、仕事が近いと、近い人同士で友達ができていくじゃないですか。僕も社長をしていて、社長の友達ができていきました。社長の中では、「○○の会」という交流会ってたくさんありますよね。

丹下:ありますね。

団:その会に行くとよく、「君のところはもう少しビジネスモデルを考えないといけないよ」というようなことを言われました。それで、「確かにそうだな」と一時期は思うんですね。それで、キャッシュを生む仕組みを考えようとします。一方で、「最近何に興味がある?」ということも聞かれます。それで、興味があることはたくさんあるので、喋っていると、いきなりビジネスに落とし込む会話が始まるんですよ。例えば、僕は日本最後のファーストフード(と勝手に思っている)、「ワンタン屋」をやったら儲かるんじゃないかと思ってるんですよ。
団:その話をすると、「ワンタン屋って今は無いの?」とか「ワンタンの原価ってどのくらいなの?」、「移動販売でやった方がいいんじゃない」など、ブレイクダウンが始まって行くんですね。僕は、そのブレイクダウンに興味がないんですよ。一方、若いころ友達だったヤツが、ちょこちょこ「おかげ様で上場できました」となっていって、結果を見ていると、「確かにそういうことが好きだった」ヤツなんですよ。勝ち抜いていくヤツなんですね。


環境に変化と刺激を与えるモノづくり

団:それで、僕なりに考えたことは、せっかく会社というものがあるので、「楽しまなきゃな」ということです。今は、「独立していきな」ということをベースにした、社内の仕組みにしています。それは、「プロデューサー制度」と社内では呼んでいます。このプロデューサーになると、「何やってもいい」んですね。出社時間とか、退勤とか全部フリーで、宣言した分だけ年俸が貰えるんです。

丹下:すごいですね。笑。

団:それで、僕の組織論の夢としてはこの仕組みをキッチリと回るようにしていって、ウチから独立していって、出身メンバーが会社を経営するとかみたいな風になっていくのが楽しみだと思います。ウチの会社の特徴は「一致団結していない」という所なんですよ。

丹下:(笑)

団:僕が会社をやっていて、ずっとポリシーにしているのは、「モノを作ることで、環境に変化と刺激を作る」ということをベースにしています。これは、ずっとやっていることなんです。
丹下:具体的にはどういうことですか?

団:例えば、世の中に課題がたくさんあります。実際に相談をされた例で言うと、「痴漢を止めたい」という相談が来ました。その悩みを解決するために、作られるものというのは、意外に効果がないものが多いんですね。「痴漢」を防ぐために、「痴漢をやめよう」というポスターを作っていてもあまり意味がないんです。あのポスターが及ぼす影響というのは、「痴漢をしない人が気分が悪くなる」ということと、「痴漢をする人が「そんなんじゃ負けないぜ」と思う」ことくらいなんですね。

丹下:そうですね、笑。

団:一方で気分を害し、一方で気分をあおるという効果はあるんですが、「痴漢を減らす」という本来の目的は達成されていないんですね。そういうのはモノづくりとして良くないと思っていて、そこに知恵を働かせようということを考えています。その考え方がベースにあれば、モノを作るフィールドはどこでもいいよ。と言っています。なので、僕は幼稚園とか保育園の方と一緒にやっているんですが、全然違う街づくり、村づくりをしているプロデューサーや採用のことをやっているプロデューサーもいます。ということで、バラバラなんですね。会社の夢ということで言うと、そういう考え方でモノを作れるようなスタッフがうちの会社からドンドン巣立って行って、それぞれ大きくなっていってくれたらいいなと思います。結果的には、独立しているとか、兼務役員としてたくさん仕事をしているとか、そういう形になるかと思います。
「会社を作る」という意味

丹下:ウチの会社のCI(コーポレート・アイデンティティ)を作っていただいたデザイナーがいるんですが、彼はすごく実力がある人なんですね。それで個人で仕事をしています。御社も、実力のある人がたくさんいる印象を受けますが、その人たちが集まって会社にしていく意味というのはどういうところにあるのでしょう?

団:最初はいろいろな人に「会社にしない方がいい」と言われました。結局会社にしたわけですが、最近は「やってよかった」と思いますね。それはなぜかというと、フィールドは違えども、高いレベルで同じ考え方を持って、刺激し合える状況で会話ができるという仲間ができていくわけです。これは、外部のパートナーとは違って、凄くいいと思います。

丹下:そうですね。同じ思想をもった仲間と一つのモノを作りたいという考えを持った集団を作るということって凄く大事ですよね。

団:あとは、自分がやっていることではないところから勉強になることというのがすごく多いので、たとえば、幼稚園や保育園というフィールドで環境に変化を起こすモノ作りとか環境作りのことは僕はたくさん言えるんです。
でも、街作りや村作りに関しては言えないんです。
団:これが、ビジネスパートナーとか友人とかいう関係だと出てこないような話が、同じ会社の中で同じ考え方の中でやっていると出てくるようになるので、それが結構勉強になるんですよ。だから会社にしてよかったのかなと思いますね。

丹下:正解は分からないですが、共感する部分はあります。

団:それと、会社をやっていくことのリスクを減らしていったんです。人を雇ったとき、「食べさせていかなあかん」というところ有るじゃないですか?

丹下:そうですね。

団:そういうのにはならないようにしようと思って、そうならない組織にはしていきました。それと、ネガティブに感情移動してしまう部分を排除していって、会社として成り立つ有り様を計算していったら今になった。という感じです。

丹下:会社のホームページを拝見させていただきました。御社では、プロデューサーが3人いて、そのプロデューサーの下で修業をするというスタンスということですね。

団:そういうスタンスです。

丹下:コンサルティングもそんな感じですね。結局徒弟制度になります。

団:そうですね。ただ、少し違うと思っているのは、モノづくりの考え方です。


団:これは業界や個性に依存するのではなく、結構どこへ行っても通用すると思っています。たとえば、物流の世界のコンサルティングだとすると、物流の世界の常識だったりとか、一子相伝とか、その世界だけで終わってしまうんですね。ウチのメンバー達が一番良いなと思うのは、「友達から相談されるアナタ」になれるということです。そうなっていったら、確実に成長しているよ。ということなんです。


幼稚園プロデューサー 団 遊

丹下:団さんは今何をやられているんですか?
団:僕は幼稚園を主にやっているプロデューサーです。幼稚園の歌を作ったり、体操服を作ったりしています。

丹下:歌までですか?(笑)誰が作っているんですか?

団:エイベックスさんと一緒にやらせていただいています。

丹下:すごいですね。なぜ最初は幼稚園だったのですか?

団:僕はもともと情報雑誌の編集してたんですよ。それで、しばらくして、雑誌は電通や博報堂が出版社なんだということに気付きました。

丹下:そういうものなんですか?

団:多くはね。それで電通や博報堂の広告主に喜ばれるために仕事をするのは嫌だなと思って、編集の仕事を辞めました。せっかく編集をやってきたので、編集のスキルをどこかで活かしたいなと思って、人の紹介で幼稚園・保育園関係の仕事をしている人に会いました。そうしたら面白くて、やり始めて7年くらいになります。

丹下:どんな風に仕事がとれるんですか?

団:紹介でご相談をいただくことが多いですね。例えば最近だと、こんな相談を受けました。「団君聞いてくれ。職員がよく辞めるんだよね。」といった感じです。それで、話を聞きに行くわけです。「どういう事情でどれくらい人数が減ってますか?」とね。
団:それが本当に減りすぎなのか、適度な減り方なのか、というのはいくつもの幼稚園に行っているからわかることで、減りすぎだったらどう改善していこうか、というのをそこからモノを作ることで解決していきます。

丹下:もっと上位的な目的があって、その目的を達成するためにモノを作るという手段があるというわけですね?

団:そういうことです。


環境に変化を与え、人を集めるモノづくり

丹下:面白いですね。一個のアイデアを考えるのにメチャクチャ考えますよね?

団:楽しいですね。その時にどういうことをすれば、一番変化と刺激を得られるのかということを考えます。例えば、幼稚園さんでは、園児が少ないということが、一番相談されるわけです。それで、話を聞くわけですが、過程はいろいろあれど、今ちょっといいなと思っている解決策は、「井戸を掘ること」です。

丹下:なぜですか?

団:まず、井戸って日本では200~300万円くらいあればだいたいどこでも掘れるんですよ。

丹下:あっそうなんですか?


団:はい。深いところでも60m位で、2日でできるんですよ。それで水質検査を通れば飲むこともできるんです。

丹下:なるほど。

団:水が湧き出るところというのは、サバンナのオアシスじゃないですが、「人が集う」場所になるんですね。それで、地域の中心になっていって、ガーデン、ビオトープ(生態系)を作って、子どもと自然との共生ということをやって、それを長期で先生と一緒に取り組んでいくということをやりましょうという提案です。こういうことを言うと大抵、「そんなことやって子供増えるの?」といわれるわけです。「もっとバスに広告とかしたら。とかそういう提案ないの?って。井戸掘るって。。」とかね。結果的に言うと、井戸を掘る方が環境に変化を起こせるので、いいなと思います。バスに広告を出したとしても、その年は結構お客さんがくると思いますけど、次の年はまた初めからになってしまいます。
団:それに井戸を掘れば水道代を気にせずプールの期間を長く取れるんです。それが保育の特徴のひとつにもなりますしね。

丹下:ビジネスライクな話になってしまうんですが、既存のお客さん以外の幼稚園に対して営業に行くことというのはあるんですか?

団:あります。ですが、既存のお客さんの周辺の園とは取引をしないようにしています。パートナー幼稚園を「地域一番園」にすることを目標にしていますので、バッティングを避けるようにしていますね。ですので、この範囲外のところは、声がかかれば、提案に行くようにしています。それで、三年間お客さんから注文をいただけなかった場合は、周辺園にも営業に行ったりしますね。

丹下:なるほど。笑。今後は、幼稚園以外でも「変化と刺激のモノづくり」をしていく予定ですか?

団:そうですね。別に幼稚園に固執しているわけでもないので。僕も採用を何社かやったり、企業のプロモーションなんかもやったりしているので。別にフィールドにこだわっているつもりはありません。

丹下:基本的には、人材輩出企業と考えてしまっていいのでしょうか?要はアソブロックから巣立っていった人たちが、環境に刺激と変化を与えるモノを作ることによって、社会を変えていくというような。

団:本当にそうなってほしいですね。
落語の世界で落伍して・・・

丹下:個人としての夢も聞かせていただけますでしょうか?

団:(沈黙)・・・ちょっと待ってくださいね。出版社やってるんですよね。うち。その出版社の本をしっかりと広めていきたいですね。

丹下:なぜ出版社をやられているんですか?

団:もともと幼稚園・保育園の仕事をしていて、保護者さんにもいろいろメッセージを伝えていかないと、園ばかり頑張っていても、この世界は変わらないなと思ったんです。そういう思いで作ったのがホンブロックという出版社です。「家族と子どもを想う出版社」をキャッチフレーズ、家族向けの本を出しています。ニッチなジャンルなので、冊数が出るようなものではないんですけどね。

丹下:なるほど。

団:他には、落語もしているんですよ

丹下:そんな気がしてたんですよ。名前とかあるんですか?
団:「キャラメル」です。古今亭キャラメル。

丹下:爆笑。・・・カタカナは意外でした。

団:大学を卒業してホンマに落語家目指していたことがありまして。その時にもらった名前が「キャラメル」いうんですわ。

丹下: ほう。現在も続けられてるんですか?

団:はい。今は古今亭駿菊(ここんてい しゅんぎく)師匠のもとで学んでいます。名前は引き継ごうと思いまして、キャラメルとさせていただいてます。

丹下:舞台でやられたりするんですか?

団:たまに寄席で喋らせてもらってますよ。今度見に来てください。

丹下:いいですね、ぜひ!では個人の夢は出版と、落語ということで。今日はありがとうございました。

団:こちらこそありがとうございました。




もって生まれた天賦の才とはこのこと。芸能人のような名前で、古今亭キャラメルという芸名まで持っている。
これほど、キャッチな人はそういません。でも、柔らかさの中に芯がしっかりとしていて、会社(個人の才能)を通して、世の中に貢献したいという想いがとても伝わってくる社長さんでした。
名は体を表すとは良く言ったもので、子供と家族の“団(暖)”を創造し、会社を通して“遊び”を提供する。
そんな素敵な団遊社長でした。