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株式会社ネットプロテクションズ

7500社、500万人のユーザーが使うサービス
 ここ数年、インターネットで買い物をする事に、そこまで抵抗は無くなっていますね。これは、クレジット決済で面倒な振込み作業が無いからだと思います。しかし、クレジット決済以外に、コンビニ、郵便局、銀行での現金後払いという面白い決済方法があるんです。どんなユーザーが使うのだろう。7500社以上のショップ、500万人を超えるユーザーに利用してもらっているこのサービス提供会社の社長に会いに行きました。
 

与信を見極めるノウハウが事業のポイント

丹下:早速ですが、会社としての夢を教えて頂けますか?

柴田:詳細は後ほどというところですが、参入の難しい決済事業をやってるからこそ、夢は凄く大きく持てるんですよね。加えて、事業のみならず、組織の面でも高みを目指したいですね。その1つとして、市場主義的な会社運営ができたら面白いなと思っています。
例えば、何かのプロジェクトに投資するかどうかという判断において、僕だけが決定権を持つのではなく、社内の一定層のビジネスセンスを持つ人が、個別に評価し、責任をもってそこに投資をしていくという事が出来たら良いなと思っています。それって、すごく市場主義っぽいじゃないですか。なんというか、会社としてのベクトルは一致させつつ、経営者が引っ張るというよりも、市場主義や民主主義で物事が判断されるような会社を目指したいと思っています。難しいですけど。

丹下:そうですね。難しいですよね。弊社もそうありたいですね。

柴田:丹下:(笑)

丹下:いきなり、大きな話になりましたが、まずは会社の事業について、少し教えて頂けますか?

柴田:はい。ネットショップ向けの決済を二つ(NP後払い、NPカード)やっています。ただ、売り上げも利益も完全に『NP後払い』です。9割以上なので、NP後払いをやってる会社ですと説明しています。

丹下:NP後払いというのは、どういったサービスですか?
★ Dreamerのプロフィール
出身地 福岡県
生年月日 1975年8月1日
学歴 1998年3月 一橋大学社会学部卒業
略歴 1998年4月 日商岩井(株) 物資部煙草課配属
2001年4月 同社退職
2001年5月 ITX(株)に転職
2000年11月 (株)ネットプロテクションズ買収に伴い、役員として同社出向
2004年6月 社長就任
2004年8月 ITX(株)より(株)ネットプロテクションズに転籍 現在に至る
趣味 ゴルフ、フットサル、サッカー観戦、読書
その他

☆ 会社概要
企業理念 Eコマースに新しい標準を
社名 株式会社ネットプロテクションズ
代表者 柴田 紳
設立 2000年1月
住所 東京都港区赤坂3-21-13 昭栄赤坂ビル3F
TEL 03-6229-1081
FAX 03-6229-1082
URL http://www.netprotections.com/


柴田:一般のお客様がネットショップで注文されてカードとか、代引きとかを選びますよね。その支払い方法の一つです。ネットショップで商品を買い、その買った人が、代金を払ってくれるかどうか、弊社で審査をして、OKであれば出荷して良いですよとネットショップに連絡します。この段階で、お金は動いてなくて、モノだけが動いています。そして、商品が実際に購入者に届いた事を確認して、当社からネットショップに代金を立て替えて支払い、購入者には当社から請求書を送ります。この請求書1枚でコンビニ15社と、郵便局、銀行、どこでも払えるというサービスです。

丹下:クレジットカードの現金版のようなサービスですね。

柴田:そうですね。ネットショップからすると、弊社のNP後払いサービスの事はよく分からないけど、注文があった段階でお金が先に入ってくる。
そして、購入者からすると、弊社のNP後払いサービスのことは良く分からないけど、商品が届いた後に、請求書が届いてお金払うだけ。ネットショップも購入者もお互いに安心というサービスです。で、1社だけ損をする会社がある。当社なんです、笑。

丹下:完全に与信ビジネスですね。ネットショップも喜ぶし、クレジットカードが無いとか振込み手数料とか代引き手数料とか気になる購入者からすると嬉しいサービスですね。損をするのは御社だけ、笑。でもリスクありますよね。

柴田:そうなんです。購入者が支払わないリスクを全部負わないといけないんですよね。そもそも、ビジネスになるのかという根本な命題もあって、でもやってみて検証しないと分からない。そして、検証しようとすると、システムを作らないといけないとか。一生懸命、血と汗流して事業化しても、この事業が成功するかどうかは誰にも分からない。事業立ち上げ当時は、誰に相談しても「無理だよ、そんなの」って言われてましたね。

丹下:個人的な感想で言うと、若い人達、いわゆる、クレジットカードは作れない人達。高校生が音楽CD買うとか、服を買うとか、そういうところには、もの凄くニーズがあるのかなと感じましたが、如何ですか?

柴田:そうですね。反面、カードが作れないからこそ、二ーズがあるのですが、逆にその層はリスクも大きいんです。ただ、それをどうにかやってきて、今ではちゃんと黒字も出ています。

丹下:どうやってそのリスクをヘッジしているんですか?
柴田:NP後払いの可能金額の上限を設けています。少額の取引が凄い数で行われていますが、利用してもらえればもらうほど、データベースが溜まってくるので、支払われないというリスクが、次第に低減してくるんですね。勿論、それに加えてもう7年以上事業を運営してますので、色々な意味での与信ノウハウをフル活用というところですね。


7500社が利用し、毎月150社が加盟。導入すると2割の売り上げが伸びる

丹下:現在の利用社数はどのくらいなんですか?

柴田:今7500社位のネットショップでご利用頂いています。そして、毎月約150社ずつ増えています。更に、購入者は延べで500万人くらい、毎月20万人以上の方が利用されています。

丹下:お~!すごいですね。

柴田:始めた当初は信用も何もないですし、規模の大きな企業からは見向きもされなかったんですが、次第にブランドが付いてきて、ここ最近は大企業の導入事例が増えてきました。例えば、花キューピット様とか、第一園芸様とか、エドウィン様、ポッカ様、セイジョー様。やっとホントに認められるようになってきました。

丹下:主なユーザーは、やはり若年層の方が多いんですか?

柴田:むしろ30歳前後ですね。実は2006年末に、一度しっかりとアンケートを取ったんですね。その回答者2000人はうちのユーザーではなくて、調査会社(マクロミル)のモニター向けに行ったので変な歪みは少ないと思います。
今現在、ネットショッピングで使ってる決済方法を聞くと、1位がクレジットカードで62.6%です。2位が代金引換の14.7%。銀行振込みが6.5%で、弊社のような後払い(銀行後払い、郵後払い、コンビニ後払い)は全体の11.3%しかありません。一方、ネットショッピングでの決済方法で、一番好ましい方法は何ですかと聞くと、後払い(銀行後払い、郵後払い、コンビニ後払い)が全体の28.5%もあるんですよ。で、そこの差は何っていうと、ニーズはあるけど、まだまだネットショップで現金後払いを導入していないという事なんです。また、女性からのコンビニ後払いのニーズってすごく高いんですよね。何故かというと、ニッセン様とかセシール様とかカタログ通販は、そもそも後払いがメインなんですよ。その同じユーザーがネットでも当然買い物しているので、後払いのニーズが当然ある。

丹下:競合他社はいるんですか?

柴田:一応1社だけいます。但し、業歴でも規模感でも、まだ競合とはみなしていません。事実上、当社がオンリーワンだと思っています。それと、話は戻りますが、先ほどのアンケートで「一番使いたい決済方法がなかった場合どうしますか?」という質問をすると、6割が買わないと答えています。つまり、後払いを決済手段として用意していない場合、28.5%のニーズの中で約6割、すなわち、2割弱の方を逃がしていることになります。逆に言うと、当社のサービスを導入すると、理論的には売上が2割伸びますという事です。


1.2兆円の市場規模、600億円の売上を目指して

丹下:すごい説得力ありますねぇ。

柴田:弊社がリスクを負えない商材とかもあるのですが、
今の考え方で行くと、カードでの支払いニーズが46%で、代引きが18%で、後払いが28%。ネット通販市場は、今で4兆円と言われています。5年後には11兆円とかになると言われているんですよね。
いずれにしろ、カード支払いは、クレジットカード会社が取り合ってるマーケットです。代引きは運送会社が取り合ってるマーケットです。この後払い市場は、こんなにニーズがあるにも関わらず、弊社がほぼ独占です。単純計算すると、4兆の30%で1.2兆円の取扱金額になります。そして、手数料はというと、1.2兆の5%で約600億円です。頑張れば、それだけいける可能性があるんですよね。

丹下:なるほど~。インフラビジネスの真骨頂ですね!

柴田:ですが、更に次の 2個目、3個目の戦略があるんです。

丹下:と言いますと?

柴田: B to Cの会社じゃなくて、卸とかメーカーとかB to Bの会社から、後払いを導入したいと問い合わせがあります。B to Bの買い手は、キャッシュフローを考えたり、リスクを考えると、ものを見てからお金を払いたいという事になり、B to Cと同じような二―ズがあるんです。

丹下:ありますよね。しかもB to Bの方が手堅いですね。

柴田:B to Bは、ネット上だけでも80兆円って言われています。このB to Bも今、ちょうどやり始めたばかりです。これが本格化すると規模感も凄まじいですが、ネットショップさんに限らず買い手が増えてくるので、何十万社のデーターベースが出来上がる可能性があるんですよね。そうすると、これを切り口にしてもいろんな事が出来ると思うんです
よ。
丹下:データベースがあると、面白いことができますね。
柴田:B to Cについても、現在の20万件以上の決済の流れを上手く利用すればコストゼロで会員獲得できる可能性があるんですね。そうすると、弊社サービスの未払いリスクも下げられます。また、リスクが高い商材については、今はやれていない分野もあるんですが、そういった商品を取り扱う可能性も広がります。

丹下:会員獲得コストがゼロというのは、我々の世界では異例ですね。


「Eコマースに新しい標準を」、既に一定規模のショッピングモールを構築

柴田:ネットショップさんについても、当たり前なんですけど、やればやるほど、ショップ数が広がっていく可能性があるんですよ。カードは、カード会社1社が全てのショップさんと付き合うってムリじゃないですか。でも、弊社は、すべてのショップさんと繋がる可能性があるんですよ。すでに7500社の導入実績があるので、数だけで見れば楽天さんの2万社と良い勝負ができるポジションなんですよね。

丹下:2万社を超えるのも時間の問題かも知れませんね。

柴田:戦略として今は、リンク型のショッピングモールを作っています。弊社はもともと加盟店が7500社もいます。コストゼロで、すでにこのショッピングモールに2500社以上のショップさんが集まっています。インターネットショッピングモール業界は、1位:楽天、2位:yahoo、3位その他というところなんですが、3位以降は、最大手でも数千社位なんですね。

丹下:すでに御社はいいポジションじゃないですか。。
柴田:ここまで来ると、決済での利益があって、特殊な決済を持っていて、売り手がいて、買い手がいてという状態なので、戦略的な自由度が高いんですよね。要は、ショッピングモールを運営するにあたり、絶対すぐに儲けなきゃいけないとかっていう束縛があまりない。買い手の立場で考えて一番買いやすい場所って、変な広告とかウソが紛れ込まないような、そんなショッピングモールだと思うんですよね。お客さんの声をもっとダイレクトに反映するような場が作れればなぁと。

丹下:そうすると、楽天さんを超える可能性すらあるかもしれませんね。

柴田:最終的に一番やりたいと思っていることは、ネット上の取引の概念やルールを弊社が変える。「Eコマースに新しい標準を」という言葉を理念にしたいですね。弊社が世の中にとって欠かせないインフラになって、弊社を通すことでみんなが安心して安全に取引ができる。そういうサービスを提供していきたいと思っています。

丹下:壮大な構想ですね!でもかなり見えてきていますね。「たられば」な構想は、僕もそうですが、描きやすいですよね。でも現実そうじゃない。

柴田:もともとこういう絵は、会社設立して一年目くらいからあったんです。もし成功したらこういうのが出来そうだよねと。でも、収益面から考えても、あえて手を出さずにひたすら後払いだけをやってきたんですよ。まずは一点突破で基盤を作らないといけないと思ってました。


20万件超の与信業務を、たった6名でこなす

丹下:今後の構想も含めて、ここまでお話聞いて良いんですか?
柴田:以前は、ここまでの話はしてなかったですね。でも、今はある程度はあえて話すようにしてるんですよ。潜るだけではなく、一部は開示していくことによって、事業の認知度の向上や、人材採用力の強化を狙っています。。まぁ、7年間潜って、ひたすら積み上げてましたからね。競合が出てくるとは思いますが、そう簡単ではないと思っています。

丹下:確かに、ここまで積み上げた基盤があっての今後のビジネスですからね。

柴田:実は一番得意な部分は、オペレーションの効率化なんですよ。7500社から問い合わせを受けるし、与信も毎月20万件以上やらないといけません。お金も先に払わないとダメですし、請求書も20万人以上に送る。当社は、今6人くらいでやっています。

丹下:弊社も業務改善のコンサルティングはやっていますが、その人数で出来るところが凄いですね。

柴田:そうですね。規模が拡大すると、様々な業務がボトルネックになってくるじゃないですか。それを全部予想しながら、どんどんシステム化をしてきました。この点こそ、多分一番ノウハウだと思うんですね。そう簡単に真似できないんです。何百人か投入して赤字覚悟でやるような会社で無い限り、たぶん時間の短縮は難しいと思います。

丹下:確かにそうですね。こういうのが上手くいくと、会社経営って面白いですよね。

柴田:そうですね。面白いですね。楽しい仕事なんですよ。事業のチャンスが大きいと、当然、人を育てる機会も多いですし。次のリーダーじゃないですけど、そういう人が成長できる場を提供していきたいですね。


永続的な事業モデルを構築する

丹下:次の展開をしていくにあたって、そういうリーダーの方達に、頑張ってもらいたいという事ですね。

柴田:そうですね。

丹下:柴田さんが全部先頭きるっていうのは難しいですもんね。

柴田:そもそもの目標はですね、「事業が素晴らしいよね」って誉められて、人が集まる会社で確かにありたいんですが、それより、もっと「文化が良いね」とか「あそこ行くと成長するよね」っという評価で人が集まる会社にしたいんですよ。事業の優位性って永続的じゃないと思うんです。でも社風とか人の優位性って、やっぱり永続的だと思うので。
丹下:いやぁ、ホント素晴らしい経営者に出会う事ができました。僕もそれ、常々思っています。

柴田:口で言うのは簡単ですけど、ホント難しい。

丹下:難しいですよね! それで、冒頭の市場主義的な会社にしたいという想いと繋がるんですね。

丹下:社長、個人の夢みたいなのがあれば是非教えて頂けませんか?

柴田:具体的では無いのですが、漠然ともっともっと社会に貢献できる人になりたいと思っています。自分が体験して成果を上げる事によって、それを次の人に伝えられる、ベンチャーの後見人になりたいですね。経済力を持つことで、エンジェルのような立場に立ちたいなとも思いますし、あるいはリーダーを育成するような事もやりたいと思いますし。勿論、この会社で事業を拡大していく事が、そもそも大きな社会貢だと思っています。いずれにしても、どれでも選べるような、人格的な部分やスキル的な部分、お金的な部分の力は欲しいなあと思っています。

丹下:日商岩井もそうですし、リクルートみたいな会社もそうだと思うんですが、優秀な人材を輩出する会社、それに近い概念ですか?

柴田:それは凄くこだわりがありますね。

丹下:わかりました。本日は非常に参考になるお話、ありがとうございました。

柴田:こちらこそ、ありがとうございました。



現金後払いサービスの業界No1ということで、出てこられる社長様は非常に厳しい方なのかと心配していましたが、とてもお若い、ハンサムな社長様でした。元日商岩井ご出身という事で、私の友人にもたくさんの日商岩井OBで社長をされている方がいらっしゃいます。柴田社長も、非常に優秀で頭の回転が速く話をしていて、心地良かったです。それにもまして、優秀な起業家を輩出したいという理念には、経営者として頭が下がる思いです。どの会社も夢見るインフラビジネス。ネットプロテクションズ様は、まさにそのお手本のような事業モデルです。こういった会社が世の中を変えて行くんですね。今日も勉強させて頂きました。