>ドリマガ TOPへ

起業家の熱い夢を応援するウェブマガジン「ドリマガ」

株式会社ECナビ

「シリコンバレーのベンチャーのようにしたい」
 以前、とある会社の屋形船パーティーでお会いした社長さんです。爽やかな方だなあというのが第一印象です。インターネット聡明期に懸賞サービスで創業されましたが、その後、会員数200万人、月間3.7億PVを誇る価格比較サイト「ECナビ」を企画・開発・運営されています。パソコン・家電・ファッションなど約32,000店舗、1,500万点の商品から価格情報と商品情報を横断検索できるサービスです。ショッピングやコンテンツ利用で貯まるECナビポイントのキャッシュバック金額は累計30億円超らしいです。他にも、インターネットサービスについての研究開発を行っているそうで、インターネットのリーディング・カンパニーの社長様に取材させて頂くのは、楽しみです。
 


学生結婚からコンサルティング会社へ就職、そして起業

丹下:早速ですが、会社としての夢を聞かせて下さい。

宇佐美:夢というかビジョンなのですが、会社としてという意味であれば、「シリコンバレーのようなベンチャーにして行こう」という事です。事業としては複数のネットビジネスを展開しているため、その事業毎に目指しているものが違います。

丹下:なるほど。そのビジョンの元、様々な事業をやられているんですね。具体的な事業を教えて頂けますか?

宇佐美:子会社を含めて、7つほど事業を行っております。

丹下:何歳で起業されたんですか?

宇佐美:26歳の時です。愛知で高校まで過ごして、大学は東京です。そのまま東京で就職もしました。

丹下:昔から、会社を創りたいというのがあったんですか?

宇佐美:そうですね。大学の時に、学生結婚をして既に子供もいました。普通の会社には入れないなと思って、じゃあ独立するかという感じです、笑。でも、最初は起業に役立つと思い、コンサルティング会社のトーマツコンサルティングに就職しました。そこで2年ほどシステムや業務改善のコンサルティングをしていました。ただやはり大企業向けのコンサルティングでは、起業に繋がる勉強が出来ないなと思って、ベンチャーに転職して1年働きました。それから独立しました。

★ Dreamerのプロフィール
出身地 愛知県
生年月日 1972年
学歴 早稲田大学商学部卒。
略歴 早稲田大学商学部を卒業後、トーマツコンサルティングに入社。金融機関の業務改善プロジェクト等に携わる。インターネットという新しい分野に可能性を感じ、1999年にアクシブドットコム(現ECナビ)を創業し、取締役COOに就任。2002年10月に代表取締役CEOに就任し現在に至る。2005年12月サイバーエージェントの取締役就任(現任)し、メディア事業の副統括及びシステム全般を担当。2007年4月に日中韓若手経済人賞を受賞。
趣味 読書と旅行。
その他

☆ 会社概要
企業理念 シリコンバレーのベンチャーのように。
社名 株式会社ECナビ
代表者 宇佐美進典
設立 1999年10月8日
住所 東京都渋谷区神泉町8-16渋谷ファーストプレイス 8F
TEL 03-5459-1166
FAX 03-5459-5571
URL http://company.ecnavi.jp


丹下:一番最初に始められた事業は、何ですか?

宇佐美:今はやっていないのですが、ECナビの中で、懸賞のコーナーがあります。その懸賞事業を最初はやり始めました。

丹下:なるほど。懸賞のシステムは、自分で作られたんですか?

宇佐美:学生のアルバイトの人に作ってもらいました。

丹下:サラリーマンをやりながら、夜な夜なシステムを作っていたんですか?

宇佐美:いいえ、スパッと辞めました、笑。

丹下:そうすると、最初は収益が無かったんですか?

宇佐美:はい。1年半くらいは赤字が続きました。その当時はインターネットバブルでしたので、資金調達はそこまで苦労しなかったです。

業界No1の懸賞サイトを運営、絶頂期に事業をシフト

丹下:時代ですね。最初に立ち上げた懸賞事業から、4・5年後にECナビの事業へ転化されましたよね。何がきっかけだったのですか?

宇佐美:ビジネスとして、ユーザーもたくさん集まって、収益が出て良かったのですが、クライアントの所に行くと、「懸賞サイトって懸賞マニアが多いんじゃないんですか?」と、言われる事が多かったんです。我々としては、「そうじゃないんです。ネットの中でも懸賞サイトはキャンペーンのやり方として定着しているし、懸賞マニアではなく普通の人が利用者です。」と、説明していたんですね。ただ、なかなか分かってもらえなかったんです。

丹下:お客様の理解を得るのは大変ですよね。

宇佐美:我々としても、その事業に誇りを持ちづらかったんですね。しかし、やるからにはNo1を目指していこうと思っていました。ただ2002年位から、懸賞ビジネスも、そろそろ頭打ちだなと思っていました。2003年頃には、なんとか懸賞サイトNo1になれたんですが、競合他社も増え、価格競争になると思ったんですね。業績も良い時に、次期ビジネスに移行しようと思って、たまたまニュースサイトを見ていたところ、価格比較サイトがアメリカでは伸びているというのを見たんですね。じゃあ、これにしようと思ったんです、笑。

丹下:なるほど、同時に他の事業も立ち上げていたんですか?

宇佐美:いくつかやっていました。ただ、ECナビ(価格比較サイト)に集中しようという事で、当時@Womanという女性サイトやモバイル事業も売却しました。

丹下:スムーズにECナビにシフトされたんですね。先ほど言われた、シリコンバレーのベンチャーのような会社になるという夢ですが、具体的にはどうすればなれるんですか?

宇佐美:それは、難しいですね。具体的じゃないところがいいんです、笑。

丹下:前職を2005年に退職したのですが、その時にどうしても、シリコンバレーにあるパロアルト研究所に行きたかったんですね。それで、当時友人がサンフランシスコに住んでいたので、シリコンバレーに遊びに行きたいから、連れて行ってと言ったら、シリコンバレーってどこって言われたんです。アメリカ人は、そういう言い方はしないそうですね、笑。

宇佐美:そうですね、笑。サンノゼとかそういう言い方になりますね。

丹下:それで、スタンフォード大学とか、アップル、グーグル、ヤフー、HPなどのヘッドクオーター見物をして帰ってきたんです。シリコンバレーっていうと、どんどん新しい事が生まれているというイメージですが、御社としてもそうなりたいという事ですか?

宇佐美:我々としては0から1を生み出すことをやっていきたいというのはありますね。
世の中を変えていくようなサービスを作り出していきたいなと。その為には、色々と挑戦していかないといけないという事ですね。


今は検索エンジンを開発、2010年までに10個のサービスを立ち上げる

丹下:特に力をいれていらっしゃる事業は何ですか?

宇佐美:今は、検索エンジン回りのビジネスです。世の中、グーグル、ヤフー以外にも様々な検索エンジンがありますが、検索エンジンのビジネスが伸びれば、その周辺のビジネスも伸びるという事なんですね。そういった検索エンジンに関わるビジネスを伸ばしていこうと思っています。



丹下:実際に検索エンジンを作られているんですか?

宇佐美:作っています。

丹下:そうなると、優秀なエンジニアを獲得されるのが重要になってきますね。エンジニアの方が多いんですか?

宇佐美:エンジニアは、30人くらいです。営業は、40~50人います。

丹下:研究開発部隊は別にいらっしゃるんですか?

宇佐美:そこは、エンジニアの一部ですね。

丹下:そういった研究開発は、宇佐美さんが指示されるんですか?

宇佐美:あくまでもアドバイスレベルです。開発者の自主性をいかに引き出していくかが研究開発では重要なので。実際、Buzzurlというソーシャルブックマークのサービスは、エンジニアから出てきたアイディアです。

丹下:経営上の数字的な目標はあるんですか?



宇佐美:会社の中では、事業を3つのフェーズに分けています。1つはインキュベーションフェーズの事業、次は成長フェーズ、最後は成長しながら利益をあげていくフェーズ。これをE1、E2、E3と分けています。E1の事業を2010年9月までに、10個立ち上げようと思っています。今はE1事業が4つですね。E2が1つで、E3が2つです。

丹下:どんどん新しい事をやろうという想いがあるんですか?

宇佐美:はい。変化の大きい時代においては試行錯誤が重要なので。それに新しいことに挑戦していくのって楽しいですし。その中でぐっと伸びるところは、アクセルを踏み込もうって思っています。

丹下:こうやって色々なビジネスを興していくと、ある種グーグルのように色々なサービスが出来て、優秀な人も集まると。ただ、優秀な人は知的な刺激に飢えていて、次の事がやりたくなったら、一つの手段として会社を辞めていく。そういう事があると思うんですね。そういった時に、リクルートのように優秀な人材を輩出する企業になるのか、それともGMOさんのように、冠をつけて子会社を増やして行くのか。どちらなんですか?

宇佐美:そのどちらでもなく、優秀な人が働きたいと思うような会社にしていければなと思っています。新しいことに挑戦して、世の中を変えていきたいという事ですね。

丹下:それでは、個人としての夢を教えて下さい。

宇佐美:会社の夢と個人としての夢は一体化はしています。ただ、個人としてはもっと人というところにフォーカスをしていて、人を育てていきたいなというのがあります。私自身が世界を変えていきたいという想いの部分とそういう世界を変えていく事が出来る人をどんどん育てて行きたいというのがあります。

丹下:会社づくりは人づくりという事を、トヨタが言っていましたが、御社は「ajito」という社内バーもあり、社員のコミュニケーションを大切される会社なんですね。本日は取材ありがとうございました。

宇佐美:こちらこそ、ありがとうございました。



学生時代は、学業と子育て、バイトと非常に苦労されて、起業当初も売れない時代があったにも関わらず、明るく語っていらっしゃった。学生時代に、単純なバイトで時間を売ることしかできず、仕事を選べなかった経験があるからこそ、自分のやりたい仕事に没頭して、その面白さを味わっている。新しい事業を立て続けに立ち上げるバイタリティーは、そんなところから来るのかも知れない。いくつもの事業を興す楽しさを、後輩にも味わって欲しいという想いが強いのだろう。インターネット業界において、益々の発展をされること間違い無しですね。