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アニコムインターナショナル株式会社

「個人資本からスタートした保険会社」
以前、とある会社の上場記念パーティーを京大OBで行った。その時に初めて出会ったのが小森社長だった。もの凄く聡明な頭を持たれた方だなというのが第一印象です。初めてお会いしたのに、気さくに対応して下さった事も印象に残っている。ドリマガの取材という事でアポを取ったが、2年振りにお会いするという事で、非常に緊張しつつも楽しみに会社を訪問した。
 

会社に触れると人間らしくなっていく、そんな会社にしたい

丹下:早速ですが、会社としての夢を聞かせて下さい。

小森:哲学的に、会社=法人は人の間の産物だと思っているんですね。御社は業務フローを書きだすお仕事をされているかと思いますが、自然に出来た業務フローや、自然に沸いて出るお金なんてこの世にはなくて、すべては人と人が何らかの形で協力しないと何事も存在しないんですね。1人だと、さぼったり、寝てしまったりするけど、会社という個人の集合体の中にいると人間性が強化されて人間らしくなっていく。そういう会社としての在り方を目指したいと思っています。

丹下:なるほど。いきなり哲学的なお話でしたが、御社の事業を少し教えて下さい。

小森:損害保険業です。ペット保険を提供しています。

丹下:ペット保険というのは、具体的にはどういった事業ですか?

小森:人間の健康保険に似たしくみです。ペットがケガや病気をした時に、かかった診療費の50%を補償しています。

丹下:ペットなら何でも入れるんですか?

小森:犬、猫、うさぎ、鳥、フェレットが加入できますが、犬と猫がやはり多いですね。

丹下:病気していても、入れるんですか?

小森:既に発症している病気がある場合は、その病気が補償対象外になる等の条件付きで加入できます。ただ、悪性腫瘍や糖尿病などの一定の病気についてはお引受ができません。

丹下:ペットはどういった病気が多いんですか?

小森:例えば犬だと皮膚病や外耳炎などが多いですが、人間と一緒で、ガンもあります。治療法も様々で、薬剤治療、素粒子を当てての治療もあります。

★ Dreamerのプロフィール
出身地 兵庫県神戸市
生年月日 1969年5月2日
学歴 京都大学経済学部
略歴 992年4月東京海上火災保険株式会社 入社
(現:東京海上日動火災株式会社)
1996年7月経済企画庁(現:内閣府)国民生活局国民生活調査課へ出向
1997年7月同庁 調査局内国調査第一課経済白書を担当
1999年6月東京海上火災保険株式会社本店営業第三部営業第一課へ戻る
2000年5月東京海上火災保険株式会社を 退社
2000年7月アニコムクラブおよび、株式会社ビーエスピー(現アニコム インターナショナル株式会社)を設立
アニコム インターナショナル株式会社 代表取締役就任
現在に至る
趣味
その他

☆ 会社概要
企業理念 ani(命)+communication(相互理解)=∞(無限大)
社名 アニコムインターナショナル株式会社
代表者 小森伸昭
設立 2000年 7月
住所 〒161-0033 東京都新宿区下落合1-5-22
TEL 03-5348-3911
FAX 03-5348-3922
URL http://www.anicom.co.jp/
丹下:人間と変わらないんですね。もともとはどこで働いていらっしゃったんですか?

小森:東京海上火災(現 東京海上日動火災)で働いていました。東京海上には、8年在籍しましたが、3年間は経済企画庁に出向して、経済白書に携わる仕事をしていました。


多数の競合他社のなか、後発組にも関わらず起業

丹下:どういったきっかけで、現在の事業をやろうと思われたんですか?

小森:東京海上で働いている時から人の保険について疑問を感じていて、経済企画庁に出向して、人の健康保険制度を調査・分析している時も問題点を感じました。本来、保険金を払って嬉しい会社や、もらって嬉しい人はいないんですね。病気や怪我をしないに越したことはない。保険料を計算できるのは、その人がどういう確率で病気や怪我をするかという事が事前に分かっているからなんです。それなら、病気や怪我をしたあとに保険金を払うのではなくて、その前に言ってあげたいという事を常に思っていました。

丹下:なるほど。保険業界にいらっしゃって業界の問題点が見えてきたんですね。ところで、何歳でアニコムを創業されたんですか?

小森:アニコムは30歳の時に創業しました。8年前です。最初は2名の仲間を集めて、3人で始めました。

丹下:当時、同業他社はあったんですか?

小森:はい、正確にはわかりませんが、小さい会社が相当あったと思います。

丹下:その中で1番最初に始められたんですか?

小森:そうでもないです。随分、後発組でした。



丹下:勝機を感じられたという事があったんですか?

小森:うーん、どうでしょう。保険の話でいうと、ペットに関わらず流通コストが異常に高いんですよ。

丹下:プロモーションして、お客様から成約を貰う事がですか?

小森:例えば、保険会社が代理店に支払っている代理店手数料です。ビジネスの基本は、粗利が50%くらいだとしたら、本来50%の付加価値をつけてお客様に提供しなくてはいけません。保険会社の場合、仕入はお客様から頂く保険料、支出はその中からお客様に払う保険料という事になりますが、粗利に見合った付加価値を提供できていないと思っています。偶然に既成産業で、護送船団方式だったから成り立っているだけなんですね。それではダメですよね。

丹下:だから改革したいという想いがあったんですね。

小森:あとは、ビジネス自体がプロダクトアウトなんですね。お客様に保険が欲しいというニーズがあって保険業が始まったわけではなくて、本業で儲けたお金を、本業に還流するほど伸びが無くなったというときに、有り余ったお金をどう使おうかと考えて始まったものなんです。だからこそ、そこに改善の余地があると思っているんです。


1年目で会社を潰しかけ、自殺を意識。死の淵から30万件の成約でペット保険NO,1へ

丹下:しかしその競合他社との差別化は何だったんですか?

小森:保険業は何を売っているかというと、“安心”を売っているんですね。“安心”をどうやって売っているかというと、「将来ペットが病気になった時に保険金を払います」という“約束”をして、その“約束”を守り続けることで“安心”を売っているわけです。“約束”を破ると直ぐに不安に代わります。この「“約束”を守り続けます」というブランド構築に凄くお金と労力が掛るんです。その力量を持った企業が現れなかったという事ですね。

丹下:なるほど。ところで、ペット保険の代理店は、動物病院になるんですか?

小森:主にペットショップです。

丹下:最初から順調だったんですか?

小森:いえいえ、1年目は会社を潰しかけました。当時は、甘く考えていましたね。

丹下:何年目くらいから、機動にのってきたんですか?

小森:1年半位厳しい時期が続いて、それからですね。

丹下:そのころ廃業されるような同業他社もいたんですか?



小森:はい、毎月のように廃業したという話を聞きましたね。

丹下:今は競合他社はいるんですか?

小森:ありますが、おかげ様でペット保険では大手になりました。

丹下:実際には成約件数はどのくらい行くんですか?

小森:年間でいうと、新規で10万件くらいです。前身の共済の契約件数は累計で30万ほどでした。


病気や怪我をする前に予防し、健康を維持できる。それが第二次保険業

丹下:繰り返しになりますが、今の会社としての夢は何ですか?

小森:今の保険会社は、事故を起こした時に保険金を払うという事を社会的に分業している第1次保険業だと思っています。

丹下:なるほど、第2次保険業というのは何ですか?

小森:病気や怪我をする前に予防情報を提供して、健康を維持してもらう。それが第2次保険業だと思っています。
事故や病気を減らすことで世の中からありがとうって言われたいと思っています。そういう会社にしたいなというのが夢です。病気や怪我をなくす、そういった社会分業を担いたいという事ですね。

丹下:それは今でも達成していらっしゃいますよね。そうなると規模を大きくするという事ですか?

小森:まだまだです。これから本格的に始めようと思っています。

丹下:ペット以外に人の保険も進められているんですか?

小森:まだ具体的にはなっていません。保険業の免許を頂戴したのが、2007年12月26日で、保険会社として補償を開始したのが今年の4月1日です。今はペット保険で足元を固めることが2番です。

丹下:8年掛けた実績が無いと、ダメなんですか?

小森:保険業法が2年前に改正されて、運がよかったというのもあると思います。

丹下:2年前からやられているという事は、保険業法の改正は、意識はされていなかったわけですよね。

小森:世の中の流れで、いつかは改正されるだろうと思っていました。



フルパワー全開の中、利己と利他の融合を目指す!

丹下:小森社長の個人として夢は何ですか?

小森:利己と利他の融合性ですかね笑。相反する事象の融合です。つまりは自分自身がまっすぐ生きることです。怒ったり、さぼったり、気負いすぎたりすることなく、まっすぐ生きることです。

丹下:俗世間っぽい言い方をすると、仙人になるという事ですね、笑。

小森:

丹下:哲学書は読まれるんですか?

小森:たまに読んだりします。基本的にはジャンル問わず、好き嫌いの無いように、気をつけています。同じ物食べないとか同じ道を歩かないとかは気にしています。

丹下:気をつけられているところはあるんですか?

小森:フルパワー全開ですかね。私自身は、夢がある人、ガッツのある人を集めたいなと思っています。自分自身が夢を見続けたいなと思っているんです。

丹下:その他にやりたいという事はありますか?

小森:組織規程とかDB(データベース)とか自分達なりに1から作っているんです。自分達で組織自体を創りながら、問題点や課題を解決しつつ作っているのですが、それを世の中に提供したいなと思っています。

丹下:なるほど

小森:我々はリスクをテイクする保険を業としているので、お客さんからは先に保険料を預かります。
その運用先、投資先を探しているんですね。自分たちと同じパワードスーツを着た会社さんに投資したいと思っています。

丹下:パワードスーツを着る為に、小森塾があれば入りたいです、笑。

小森:もう持っていらっしゃるじゃないですか?

丹下:いえいえ、とんでもない。今日は貴重なお時間ありがとうございました。

小森:こちらこそ、ありがとうございました。




個人資本からスタートして保険会社を設立し、さらに、持株会社の資本金を60億円集められた平成の大経営者。たった5歳しか違わないのに、なぜここまで出来るのか。「人間のパワードスーツを売っているよね、って言われると嬉しいです。」と、笑顔で答えられた目が可愛かった。事業としてはフルパワー全開で挑み、その一方、自分の中の疾しい心を正したいと謙虚に答える、その姿に相反するものの融合できた姿を見た。