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起業家の熱い夢を応援するウェブマガジン「ドリマガ」

株式会社シャノン

「100人の身寄りのない子供を育てる」
シャノンは、六本木の高級アパートメントが立ち並ぶ閑静な市街地に事務所がある。近くにはアメリカ大使館の職員宿舎もあり、都会のオアシスを感じさせた。
 

起業後、ふとしたきっかけでビジネスチャンスが

丹下:まずは、御社の夢を教えて頂けますでしょうか。

中村:夢を語る前に、我々の事業について説明させて下さい。創業以来セミナー・イベントに特化したASPサービスという非常にニッチなジャンルの仕事をしています。

丹下:イベントとは具体的にどのようなものですか?

中村:大型の展示会の事ですね。例えば東京ゲームショーや、自動車のモーターショーのようなものになります。東京ビックサイト、幕張メッセ、国際フォーラムで開催されるイベント、展示会を運営、主催するための管理システム、バックオフィス的なところから、webサイト連動して、集客から受付、アンケート集計などの部分をワンストップで提供しています。

丹下:なるほど、創業の頃からそうだったんですか?

中村:Webを作りますという事で学生の時に創業しました。初めてすぐ、たまたま大きな展示会で使うwebの受付システムを作るお仕事を頂いたんです。その後1年程度、展示会が開催される度に「欲しい、欲しい」と言われて作っておりました。

丹下:リピートが来るくらいシステムの出来が良かったんですか?

中村:変ですけど、何で我々頼んでもらえるのかなと…という疑問もありました。ただ、周りを見渡してみると、どうもこういうシステムが無い。だから頼んでもらえてるんだなと気づきました。それとこの業界、非常に古い業界で、労働集約的な業界なんですね。イベントの日さえ何とかなればそれでOKみたいなところがあります。

★ Dreamerのプロフィール
出身地 奈良県
生年月日 1977年
学歴 慶応義塾大学理工学部
略歴 2000年に慶応義塾大学理工学部在学中に有限会社シャノンを設立。(現在は株式会社)2001年慶応義塾大学を卒業。イベント・セミナーに特化したSaaaSサービスを提供し、セミナーマーケティングを提唱している。
趣味 ペットとスポーツクラブ
その他 セミナー運営用ASP
スマートセミナー
http://www.shanon.co.jp/
smartseminar/enterprise/
index.html

☆ 会社概要
企業理念 楽業偕悦
社名 株式会社シャノン
代表者 中村健一郎
設立 2000年8月25日
住所 〒107-0052 東京都港区赤坂6-8-8 松原ビル1階
TEL 03-5114-0670
FAX 03-5114-0672
URL http://www.shanon.co.jp/


丹下:分かります。私も以前の職場で、ビッグサイトでイベントをやった事があります。

中村:人が足りなかったら、かき集めてなんとかしろみたいな…感じでした。逆にそれを形にしたパッケージにすれば多くの人に喜んでもらえるかなという事を考えて、これをビジネスにしていこうと思いました。そして一般の出展者を管理する部門と、一般の来場者の…何万人って来られる方の管理というところを開発させて頂きました。

丹下:イベントって、お祭りですよね。

中村:展示会って、その業界代表する会社さんとかだと、結構大きいブース出すじゃないですか、だいたい金額的には2-3000万とか、5000万とかかかる。それを、たった3日間のために費やす。それ、ROI的にどうなのかなと考えていました。お祭りならいいですが。

丹下:確かに投資対効果が見えにくいですよね。

中村:時代の流れとともに、成果が出ないと。そこで商談は何件あったのかと言う話が重要になってきました。そして商談に持っていく為に色々な手を打ちたいのですが、個人情報の問題もあり、展示会来場者すべてに対しては自由に営業活動が出来なかったんですね。

丹下:お金はかかるけど、営業に繋げにくいマーケティングなんですね。

中村:色々な会社が集まって行う合同イベントでは、個人情報が手に入りにくかったり、来場者のデータを全てもらえないという問題が出てきました。じゃあ、自社でホテルとか貸し切って、プライべート・ショーをやろうする企業が増えてきたんですね。


イベントというお祭りから、投資対効果の見えるマーケティングツールへ

丹下:イベントの投資対効果を見ようとしたら、見込み客のデータをしっかりと把握したいのは当然ですよね。

中村:そうですね。逆に会社独自にイベントをやろうとすると、集客の為のインフラがないなど、入場者管理をどうするかというところで、困るんですね。そうすると、直接会社から引き合い頂くようになってきました。

丹下:私も、前職では、イベントで5日間くらいで名刺を8000枚くらい集めてました。でも一切使わなかったです。意味がないですよね。

中村:だいたいイベントで名刺一枚集める獲得コストっていうのは、BtoBとかの場合だと、すごく成功してれば5000円くらいです。普通だと、1万円以上ですよね。

丹下:名刺1枚にかかってるコストは、札束ですね。

中村:名刺を営業さんに100枚づつくらい分けてですね、とりあえず片っぱしから電話しろと指示を出します。電話して「1件アポとれました~」って言って、1件とれたか取れてないかって言うすごく直線的な活動だけで、マーケティングのプロセスが終わっていることが多かったですね。

丹下:そうですよね。本当にそうなりますね。

中村:すぐに顧客化するっていう人は、もちろんいらっしゃるんですけれども、全体的には、1割くらいで、それ以外の見込み客を、どうフォローしていくかというのが問題になってきます。そこはマーケティング部で、フォロー、コミュニケーションを取る仕組みにしないといけないですね。セミナーなどの継続的に顧客化する活動をやって、フォローをしつつ、時期が来た場合に、相談しようかなと、という仕組み作りが必要です。そのお手伝いしているのが、我々が今行っている仕事です。


1週間でセミナーの管理システムが出来る

丹下:どういった会社が使用されているんですか?

中村:弊社の実績は、外資とかソフトウェア関係とか多いですけど、金融ではネット証券会社等にも、ご利用頂いています。

丹下:料金は、どのくらいなんですか?

中村:携帯電話のようなプランになっています。月にどのくらいセミナーを実施するかによって決まります。ベース機能で15,000円位から月額で使えます。月1回セミナーを行うと39,000円位です。

丹下:それでも39,000円で出来るんですか?私、もっと高いものだと思っていました。

中村:でも、多い会社さんだと年間500本というケースもあります。全国に支店や営業所がありますので。

丹下:新卒採用のイベントとかにも使えそうですね。弊社も新卒採用を行っているんですが、こういうのあったらいいなぁって、思いました。
中村:何が簡単かというと、セミナーを今やるって企画決めても、じゃぁ、ウェブサイトはウェブデザイン会社、システムはシステム会社に聞いて、その決済を、会社の上室に了解とってというようにやると、タイムリーに、キャンペーンとか出来なくなるんですね。それを、皆さんがやりたいと思った時に、コンテンツさえ入れれば、ブログと同じような感じで、テンプレートを変えて、簡単に差し替える事ができます。ドメインが独自ドメインで出来るので、外から見ると、我々のシステムを使ってるとはさっぱり分からないです。我々は、セミナーの黒子役です。

丹下:なるほどですねぇ。凄いシステムですね。

中村:弊社のシステムは、デザインさえ決まっていれば1週間程度で出来たりします。

上場という目標を叶え、マーケティングと言えばシャノンというブランドになるのが夢

中村:今はオンリーワンだと思っております。戦略的にもう1年くらいここを強化して行きます。

丹下:今後はどういったところに力を入れていくつもりですか?

中村:マーケティングというと、あれもやりたい、これもやりたいと思っているのですが、やれない。予算の問題もあるんですが、それ以上に手間暇がかかります。

マーケティングを考える時間がどれだけ取れるかというのが非常に重要な事なんですね。特に最近注目しているのが、リード(見込客)マネージメントです。BtoBのリードマネージメントに特化したプラットフォーム作りを行っています。

丹下:なるほど、それでは会社としての夢は何ですか?

中村:会社としては、マーケティングとか営業をしようと思った時に、シャノンという名前がまず出るという事が夢ですね。それとこれは目標になりますが上場するという事です。


親のいない子供を100人育てる

丹下:是非、本当にして下さい!それでは、中村さん個人の夢を聞かせて頂けますか?

中村:個人のですねぇ…。個人の夢はですね、もともと会社を始めた動機でもあるんですが、親のいない子供を100人育てようと言うのが夢です。

丹下:HPを見させて頂いた時に、書いてありましたね。もう少し詳しく教えて頂けますか?

中村:大学生の時に起業ごっこみたいなことを10人位でやったんですよ。そして、大学3年の秋口になって、そろそろみんな就職するから、活動しないといけない。はっきりしようという事を全員に言ったんです。言ったら、全員やめると思ったんですよ、笑。

丹下:はい。どうでした?

中村:そしたら、「俺やるよ」っていう仲間が、2人いまして、焦ってしまったんです。
「あ、ホントにやるの?」みたいになって、彼らの親に恨まれるなと思いました。逆にそこまで他人の人生責任取るのかと。

丹下:でも素晴らしい仲間じゃないですか。



中村:はい。でも何カ月かすごく悩みました。極端ですが、自殺を考えるくらい考えました。生きてく理由ってなんだろうって。その時に、親の事が頭に浮かんだんです。田舎、奈良県なんですが、もし私が亡くなったら、両親が悲しむだろうなと思って、さすがに申し訳ないなと思ったんです。

丹下:初めて、親から愛されてると気づいたという事ですか?

中村:はい。その時、自分は恵まれるんだって思ったんです。逆に親のいない人達って、辛いことが多いんだろうなと感じたんですね。もしその人達に何かできる人生であったら素晴らしいなと思ったんです。100人に特別な意味がある訳ではないのですが、それで子供を育てようと思ったんです。

丹下:すごい夢ですね。同じ社長として、私なんかちょっと恥ずかしい気がします。

中村:まぁ、どう実現するかはまだ分からないですけれども。学校にするのか、さすがに家族にするのは難しいと思いますが。

丹下:100人の子供を育てようというのは、ひとつの社会貢献ですよね。

中村:そうですね。加えて、京セラの稲盛さんも言ってましたけど、会社経営すること自体が、社会貢献だと。雇用を産み出していますしね。

丹下:そうですね。今日は本当に良いお話が聞けて、ありがとうございました。



シャノンの中村社長。彼も私と同世代の社長様です。学生から起業されて、ビジネスというものを誰からも教えてもらうことなく、自分で立ち上げてこられた方です。いつも思うのは、学生から起業される方は、サラリーマンとしての社会経験がないのに、組織論とか人材力とか凄く理解されている方が本当に多く、不思議に思っています。ただ、中村社長は、組織や人の重要性を非常に理解されている。天性の社長としての素質があるんだと感じました。
慶応卒ということで、凄くお話好きな方かとは思っていましたが、そういった側面もありながら、もの凄く誠実な方という印象を受けました。学生時代に、人生のどん底を経験されたという事を言われていて、自分の存在価値を見出されたところには、やはり起業家としての芯がおありなんですね。紳士な対応で、取材に応じて頂き、品の良い素敵な社長様でした。